その他 断章1 【過去との対話(ダイアローグ)】

■E.H.カーの言うように、歴史を学んだり考えたりすることは、「現在と過去との対話(ダイアローグ)」である。
■ダイアローグ( dialogue 、対話)という語は、ギリシア語のディア・ロゴス( dia logos )から来ている。「ロゴス(真理・論理・理性)を分かち持つ」という意味である。

ソクラテスアゴラでディア・ロゴスを実践し、プラトンは対話篇を書いた。
■その精神の駆動力は、フィロソフィアと呼ばれた。フィロソフィアとは、知を愛し求める精神の働きのことであった。(「哲学」という訳語によって、精神のエネルギッシュな働きという意味は、失われた。)

ヘロドトスは、幾多のオデュッセウスの一人であった。旅を栖とし、地中海の諸地域・諸民族を調査・探究(ヒストリエー)した。ヒストリエーとは、諸地域・諸民族とのダイアローグ(ディア・ロゴス)にほかならなかった。

■「世界史の扉をあけると」は、過去との対話(ダイアローグ)の記録である。土台となったのは、高校の世界史の授業である。したがって、本ブログの対話の深浅は、私の授業の質にも関わっているだろう。

■日本の高校の世界史の授業は、ダイアローグを成立させているかどうか。
 ・教師は、どのように過去と対話しているか?
 ・生徒は、どのように過去と対話しているか?
 ・教師と生徒は、授業で対話しているか?
 ・教師は、何を求めているのか?
 
■問いかけ求める精神の働き、それがダイアローグを成立させる。

■「求めよ」とは、イエスの言葉であった。現在の私たちの問いかけがあって、はじめて過去は答えてくれる。そして、過去に問いかけられ、問いは深まる。歴史を学ぶ醍醐味は、そこにある。

□ちょっとモノローグのような断章でした。