2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

♥世界史ブックガイド[文化と社会]④【多和田葉子『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』】

ドイツ語と日本語の両方で小説を書いている驚くべき作家の、言語に関するエッセイ集です。深く鋭い、そして不思議にやわらかな文章は、私たちを複数言語・複数文化の最前線に連れて行ってくれます。 「エクソフォニー」とは、「広い意味で、母語の外に出た状…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]③【E.M.フォースター『アレクサンドリア』】

イギリスの作家E.M.フォースターによる、珠玉の歴史都市紀行です。 ヘレニズム時代(前334〜前30)、ギリシア文化の遺産を一手に引き受けて繁栄した、プトレマイオス朝の都アレクサンドリア。ムセイオン(王立研究所)の大図書館には50万巻の蔵書がありまし…

◆<世界史ブックガイド>と授業

◆本ブログのサブタイトルは<文化と社会の交点から見えてくる歴史>ですが、私は「文化・政治・経済の複雑な絡み合いをトータルに考える授業」を目指してきました。とても到達できそうにない目標なのですが、他のページでも述べましたように、さまざまな補助…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]②【陳舜臣『ものがたり史記』】

あまりにも有名な司馬遷の『史記』。「鴻門の会」や「四面楚歌」は、高校漢文の定番となっています。 しかし、『史記』の内容を読みやすく書いた本は、そう多くありません。文庫化されたものの中では、この『ものがたり史記』が唯一の入門書ではないかと思い…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]①【矢野久美子『ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』

近年は「倫理」の教科書にも載るようになったハンナ・アーレント(1906〜75)。20世紀を代表する政治哲学者アーレントについての、日本語で初めての評伝です。 その波乱に満ちた生涯と思索の跡をたどることは容易ではありませんが、新書という制約にもかかわ…