現代

★ロシア革命とは何だったのか<4つ見方と池田嘉郎『ロシア革命』>

◆昨年(2017年)は、ロシア革命からちょうど100年という年でした。◆日本では(世界でも?)、それほど大きくは取り上げられなかったと思います。新聞紙上では、10月に若干の特集記事が見られました。雑誌では「現代思想」が、力の入った特集を10月号で組んで…

■アメリカ合衆国の光と影 [史料とコメント](その2)

<アメリカ史を考えるための史料 Ⅵ〜Ⅺ> Ⅵ ミシシッピ州憲法(1890)第8条 207項 白人と黒人の子どもたちには、それぞれ人種によって分離された学校を設ける。第14条 263項 白人が、黒人、白人と黒人の2分の1の混血、あるいは黒人の血が8分の1以上混じ…

★<新・映像の世紀第5集「若者たちの反乱」>について

◆2016年2月21日に、NHKテレビで放送されました。1950年代末、60年代後半、80年代末に焦点を当てた構成でした。◆制作者は「若者たちの反乱」という視点から20世紀後半の歴史を描こうとしたのでしょう。第3集については詳しく分析しましたが、今回は最小限の…

★<新・映像の世紀 第3集「時代は独裁者を求めた」>が伝えたこと・伝えなかったこと

■第3集<時代は独裁者を求めた>が、昨日NHKで放送されました。映像で見る20世紀前半の歴史は迫力がありましたが、現代史のドキュメンタリー番組制作の難しさをあらためて感じさせられました。当然のことですが、私たちが見るのは編集された映像です。番組…

★戦後70年の年に読む「ポツダム宣言」・「降伏文書」

◆コンパクトな史料集として、『「ポツダム宣言」を読んだことがありますか?』が出版されました。恥ずかしいことですが、本書で、初めて「ポツダム宣言」や「降伏文書」をきちんと読みました。◆本書には、「ポツダム宣言」と「降伏文書」、さらに「カイロ宣…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]④【多和田葉子『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』】

ドイツ語と日本語の両方で小説を書いている驚くべき作家の、言語に関するエッセイ集です。深く鋭い、そして不思議にやわらかな文章は、私たちを複数言語・複数文化の最前線に連れて行ってくれます。 「エクソフォニー」とは、「広い意味で、母語の外に出た状…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]①【矢野久美子『ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』

近年は「倫理」の教科書にも載るようになったハンナ・アーレント(1906〜75)。20世紀を代表する政治哲学者アーレントについての、日本語で初めての評伝です。 その波乱に満ちた生涯と思索の跡をたどることは容易ではありませんが、新書という制約にもかかわ…

現代 東アジア 【詩人・尹東柱が生きた時代】

★1941年12月、「戦時学制短縮」により尹東柱(ユン・ドンジュ、1917年12月生まれ)は、ソウルのヨニ専門学校(現延世大学校)文科を卒業した。卒業記念に自選詩集『空と風と星と詩』の出版が計画されたがうまくいかず、自筆で3部の詩集が作られた。その中の…

現代 ヨーロッパ 【ハプスブルク帝国の黄昏】

■オスマン帝国の第2次ウィーン包囲(1683)の後、ウィーンに最初のカフェができた。オスマン帝国軍の置き去りにした大量のコーヒー豆を元手に、あるセルビア人が開いたという。ウィーンのカフェは、ロンドンのコーヒーハウスやパリのカフェと並んで、ヨーロ…

現代 ヨーロッパ 【戦場写真家が生まれた】

◆スペイン内戦が始まって2ヵ月後の1936年9月、コルドバ戦線で1枚の写真が撮られた。「崩れ落ちる兵士」。(画像がなくて申し訳ありません。)撮ったのは、ロバート・キャパだった。人民戦線政府(共和国)軍の兵士がフランコ軍に撃たれた瞬間の写真は、フ…

現代 東南アジア 【カルティニがジャワに架けた虹】

◆わずか25歳でこの世を去ったカルティニ(1879〜1904)は、インドネシア民族主義運動・女性解放運動の先駆者と言われる。死後(1911)、オランダで出版された書簡集『光は闇を越えて』はベストセラーとなり、インドネシア語訳は現在も版も重ねている。 カル…

現代 アフリカ・イスラーム世界 【マフディー運動が激化した】

★スーダンのムハンマド・アフマドがマフディー(神に正しく導かれた者)を自称したのは1881年であった。「エジプト人のエジプト」を掲げたアラービー運動が起きた年であり、イスラーム暦(ヒジュラ歴)では13世紀末にあたっていた。イスラーム世界では、前世…

現代 東南アジア 【ホー・チ・ミンは読み上げた】

★ハノイのバディン広場に集まった人々を前に、ホー・チ・ミンは、彼自身が起草した「ベトナム民主共和国独立宣言」を読み上げた。1945年9月2日のことであった。 「全国の同胞たちよ」と呼びかけたすぐあと、「アメリカ独立宣言」の一節が引用され、さらに…

現代 北アメリカ 【ノーマ・ジーンは、駆け抜けた】

★1962年5月、会場にマリリン・モンローの甘い歌声が流れた。ジョン・F・ケネディ大統領の誕生パーティで、「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」を歌ったのだった。アメリカン・ドリームのヒロインとして絶頂にあったかに見えたマリリン・モンロー。しかし…

現代 イスラーム世界 【闘うアフガーニー】

★アフガーニー(1838頃〜97)を扇動家・政治的攪乱者とみる見方は、過去のものとなった。 アフガーニー(アフガン系)と自称したが、実際はイランの出身で、ムハンマドと4代カリフ・アリーの血を引く家系に生まれた。<スンナ派・シーア派>という枠組みを…

現代 ヨーロッパ 【戦車と装甲車が、プラハの街を埋めた】

★1968年、チェコスロヴァキアは、改革の希望に燃えていた。「プラハの春」である。 ドプチェク第一書記のもと、共産党自身が改革に乗り出した。4月、共産党の文書は次のように述べた。「党の目標は、社会の万能の支配人になることや、その指令によってあら…

現代 ヨーロッパ 【マヤコフスキイの希望は、打ち砕かれた】

■ロシア十月革命(1917)以降のロシア、ソヴィエト連邦を、政治革命の枠を超えた芸術・文化の革命の場と考えた人々がいた。この人々が創り出した潮流を「ロシア・アヴァンギャルド」と呼ぶ。その一人に、詩人のマヤコフスキイがいた。1918年、マヤコフスキイ…

現代 【ロンドンの夏目漱石と「開化」】

■1901年2月、夏目金之助(漱石)は、ロンドンの街でヴィクトリア女王の葬列を目撃していた。新しい世紀が始まった年の1月、ヴィクトリア女王が死去した。それはパックス=ブリタニカの終焉を象徴する出来事であったが、この時夏目はイギリス留学中だったの…

現代 オセアニア 【ハワイ王国の滅亡】

★クック来航(1778)から約30年後の1810年、カメハメハ大王がハワイ諸島を統一し、ハワイ王国が成立した。 その後、アメリカ人企業家・宣教師を中心に、白人の移住者が増加した。しかし、その際持ち込まれた伝染病により、ハワイ先住民の人口は、クック来航…