★戦後70年の年に読む「ポツダム宣言」・「降伏文書」

◆コンパクトな史料集として、『「ポツダム宣言」を読んだことがありますか?』が出版されました。恥ずかしいことですが、本書で、初めて「ポツダム宣言」や「降伏文書」をきちんと読みました。

◆本書には、「ポツダム宣言」と「降伏文書」、さらに「カイロ宣言」が、英文と日本語訳で収録されています。英文にはわかりやすい訳注をつけ、日本語のほうは、当時の文語体と現代語訳の2種類載せるというていねいな編集です。

◆また、天皇の「終戦詔書」や「ポツダム宣言受諾までの外務省電信資料」も収録されています。前者には、現代語訳もあります。後者は、外国駐在の大使・公使と外務省の緊迫したやりとりです。このやりとりからわかるのは、すでに彼らが敗戦後のレジームをかなり的確に予測していたことです。

◆敗戦(「終戦」は歴史を直視しない語でしょう)から現在までの70年は、決して短い年数ではありません。第一次世界大戦講和条約から満州事変までは、12年でした。そして、講和条約から20年後には、第二次世界大戦が勃発したのです。

◆時宜を得た出版で、とてもありがたかったです。基礎的な史料を読むことの大切さを、あらためて認識させられました。


【『「ポツダム宣言」を読んだことがありますか?』[共同通信社、900円(2015年8月)】