2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

現代 ヨーロッパ 【ハプスブルク帝国の黄昏】

■オスマン帝国の第2次ウィーン包囲(1683)の後、ウィーンに最初のカフェができた。オスマン帝国軍の置き去りにした大量のコーヒー豆を元手に、あるセルビア人が開いたという。ウィーンのカフェは、ロンドンのコーヒーハウスやパリのカフェと並んで、ヨーロ…

古代 オリエント・地中海世界 【図書館が生まれた】

★言葉と記憶は、人間という存在の関係性の証である。記憶への愛着や記憶の保持への強い欲求がなければ、人間は文字による記録を生み出さなかっただろう。文字による記録は、記憶の保管を意味した。そこから記録の収集へはもう一歩であるが、さらに知の共有へ…

近世 東アジア・中央ユーラシア 【モンゴル帝国と草原の心】

★1206年、テムジンはクリルタイ(大集会)で、モンゴル系・トルコ系遊牧民の君主となり、チンギス・ハン(偉大な王)と称した。モンゴル高原に、一つの強力な政治勢力が現れたのである。「イェヘ・モンゴル・ウルス」(大モンゴル国)である。クリルタイが開…

近世 ヨーロッパ 【トマス・モアの『ユートピア』】

■ユートピアという語は、日本語の中に定着している。あることを否定する時に使われることもあるが、まだイメージの喚起力を失っていない。もともとは、500年前にトマス・モア(1478〜1535)が造った語で、その著書名ともなった。日本語では「理想国」・「理…

 【▲高校世界史の現状と大学教育】

◆日本の高校の「世界史」は、世界の諸地域の「大きな物語」のつなぎ合わせとして成立してきた。これは、大学の研究・教育がヨーロッパ史、アメリカ史、中国史、イスラーム史などに分かれて行われてきたためである。「世界史」という学問分野はなかったし、残…

中世 南アジア 【イスラーム政権の北インド支配とスーフィズム】

★アフガニスタンに本拠をおいたガズナ朝・ゴール朝は、10世紀末から北インド侵入を繰り返した。これは、、イスラーム側はジハード(聖戦)と偶像破壊を掲げていたが、おもな目的は金銀財宝の略奪と奴隷獲得であった。ただ、パンジャーブ地方の領有をめぐる争…

その他 断章2 【物語】

■前5世紀のヘロドトスは、「ヒストリエー」という語を使った。これは、「調査・探求」の意味であった。 ■「ヒストリエー」はラテン語に入り、ヒストリア(historia)となった。これが、英語の history の語源である。 ■ history に story という語が含まれ…

その他 断章1 【過去との対話(ダイアローグ)】

■E.H.カーの言うように、歴史を学んだり考えたりすることは、「現在と過去との対話(ダイアローグ)」である。 ■ダイアローグ( dialogue 、対話)という語は、ギリシア語のディア・ロゴス( dia logos )から来ている。「ロゴス(真理・論理・理性)を…

古代 東アジア 【倭への漢字伝来と東アジア】

■倭で漢字・漢文の本格的な学習が始まったのは、太刀銘や銅鏡銘から、5世紀と考えられている。『古事記』と『日本書紀』によれば、朝鮮半島の百済(中国の東晋、南朝・宋と関係が密であった)から『論語』と『千字文』が伝えられ、漢字・漢文を教えるため学…