古代

★『聖書』とは? 翻訳とは? −新訳(聖書協会共同訳)に思うこと−

『聖書』の新しい翻訳が行われ、旧約・新約合わせて、先ごろ出版されました。1987年の新共同訳から31年ぶりとのことです。「聖書協会共同訳」と銘打たれています。 帯に「ゼロから翻訳」とありましたので、興味深く手に取りました。まだところどころ読んだだ…

古代 メソポタミア【太陰暦・週7日制・六十進法】

☆太陰暦も週7日制も六十進法も、古代のメソポタミアで成立しました。これらについての世界史の教科書の記述は簡単ですし、通常は授業で詳しく触れる余裕もありません。しかし、歴史的には極めて重要なものばかりです。それぞれの成立過程を、できるだけわか…

♥世界史ブックガイド⑭[文化と社会]【金谷治『孟子』】

最近は新刊書の案内をしてきましたが、今回は半世紀前に出版された本です。 特に古い本を取り上げようという気持ちはなかったのですが、孟子について調べていて、興味深いことがわかりました。それは、近年、孟子についての本はほとんど出ていないという事実…

★津野田興一「アケメネス朝ペルシャの言語」(朝日新聞)への疑問

★「朝日新聞」(2015年5月28日付)に掲載された「歴試学のススメ(世界史編)・アケメネス朝ペルシャの言語」は、大学入試問題で歴史を学ぶというシリーズで、なかなか面白いものでした。しかし、疑問も感じました。入試問題の解答例は許容範囲に入ると思い…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]⑥【ベルトラン・ランソン『古代末期 −ローマ世界の変容』

今回は、世界史プロパーの本の紹介です。 「ローマ帝国はなぜ滅んだのか?」という問いは、多くの人々を惹きつけてきました。ランソンは「十七世紀以来、国家の転変に関する思想が、ローマの事例から離れられなかった」と述べています。この見方は18世紀の啓…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]③【E.M.フォースター『アレクサンドリア』】

イギリスの作家E.M.フォースターによる、珠玉の歴史都市紀行です。 ヘレニズム時代(前334〜前30)、ギリシア文化の遺産を一手に引き受けて繁栄した、プトレマイオス朝の都アレクサンドリア。ムセイオン(王立研究所)の大図書館には50万巻の蔵書がありまし…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]②【陳舜臣『ものがたり史記』】

あまりにも有名な司馬遷の『史記』。「鴻門の会」や「四面楚歌」は、高校漢文の定番となっています。 しかし、『史記』の内容を読みやすく書いた本は、そう多くありません。文庫化されたものの中では、この『ものがたり史記』が唯一の入門書ではないかと思い…

古代 南アジア【カーリダーサの『シャクンタラー姫』】

★長編叙事詩『マハーバーラタ』、『ラーマーヤナ』と並ぶ、古典サンスクリット文学の傑作と言われるのが、カーリダーサの戯曲『シャクンタラー姫』である。 前6世紀頃、ヴェーダ語が文章語として洗練されて成立したのが、サンスクリット語であった。これ以…

古代 オリエント・地中海世界 【図書館が生まれた】

★言葉と記憶は、人間という存在の関係性の証である。記憶への愛着や記憶の保持への強い欲求がなければ、人間は文字による記録を生み出さなかっただろう。文字による記録は、記憶の保管を意味した。そこから記録の収集へはもう一歩であるが、さらに知の共有へ…

古代 東アジア 【倭への漢字伝来と東アジア】

■倭で漢字・漢文の本格的な学習が始まったのは、太刀銘や銅鏡銘から、5世紀と考えられている。『古事記』と『日本書紀』によれば、朝鮮半島の百済(中国の東晋、南朝・宋と関係が密であった)から『論語』と『千字文』が伝えられ、漢字・漢文を教えるため学…

古代 東アジア 【『詩経』の愛の歌】

◆『詩経』と聞くと、仏教のお経の一つと誤解したり、中国の五経の一つと理解しても儒学の堅苦しいイメージでとらえたりする。しかし『詩経』は、豊かな内容を持った中国最古の詩集であり、春秋時代の半ば頃(前600年頃)に編纂されたと考えられている。編纂…

古代 南アジア・中央アジア 【驚きのクシャーナ朝】

★普通クシャーナ朝(1世紀半ば〜3世紀半ば)は、古代インド史で扱われ、カニシカ王の第4回仏典結集と大乗仏教・ガンダーラ美術ぐらいで終わってしまう。シルクロードの要衝で栄えたことが加われば十分、という感じだろうか。しかしクシャーナ朝は、古代イ…

古代 地中海世界 【ギリシア語で書かれた『新約聖書』】

■イエスはアラム語を話したが、『新約聖書』はギリシア語(コイネーと呼ばれる、ヘレニズム期にオリエントまで広まったギリシア語)で書かれた。この背景には、パレスチナ地方の複雑な言語状況があった。 当時のパレスチナ地方は、次のような多言語状況にあ…

古代 東南アジア 【アンコール・ワットの光と影】

◆カンボジアの世界遺産アンコール・ワットは、12世紀前半、アンコール朝のスールヤヴァルマン2世(位1113〜50)によって造営された。王の即位とともに着工され、30年以上の歳月をかけて造られた。ヒンドゥー神話「乳海攪拌」や古代インドの叙事詩『マハーバ…

古代 地中海世界 【イオニアの海辺で、哲学が生まれた】

★哲学はなぜギリシア世界で生まれたのか? なぜギリシア本土ではなく、エーゲ海東岸のイオニア地方で生まれたのか? いわゆる自然哲学者(プレ・ソクラテス期の哲学者)の多くが、イオニアのギリシア人都市やその近くの人であった。ミレトスからはタレスやア…

古代 地中海世界 【イエスは、アラム語で民衆に語りかけた】

■『新約聖書』の配列とは違い、四福音書のなかで最も早く成立したのは「マルコによる福音書」であったが(60年代に書かれたと言われる)、福音書記者マルコはイエスの最後の言葉を次のように記している。『イエスは大声で叫ばれた。「エロイ、エロイ、レマ、…

古代 南アジア 【ゼロの発見】

■ゼロの概念をともなう十進法表記は、5世紀頃、グプタ朝期のインドで成立した。ゼロは、●または○で表された。ゼロを数字の一つとして考えたこと、ここに認識上の革命があった。 6世紀の天文学書にはゼロの足し算・引き算の例が記載されている。また、数学…

古代 東アジア 【秦・前漢を苦しめた匈奴】

■匈奴は、前3世紀から、ユーラシア草原東部で強勢を誇った騎馬遊牧民。また、その国家を指す。最初の騎馬遊牧国家スキタイ(黒海北岸、ヘロドトスが『歴史』で記述した)の影響を受けた。モンゴル語やトルコ語の元になった言語を使っていたという。原音は「…

古代 西アジア 【ゾロアスター教】

■イランで生まれたゾロアスター教は、世界で最も古い宗教の一つである。教祖は、前12世紀頃のゾロアスター(正しくは、ザラトゥシュトゥラ)。火を崇拝するので、拝火教とも呼ばれる。前12世紀は、イラン高原が青銅器時代から鉄器時代に移行した、大きな文化的…