世界史ミニ授業(近世)【どこだろう? ラテンアメリカとカリブ海地域】

 こうして、メキシコから南の多くの地域がスペインの支配下に入った。ただ広大なブラジルは、ポルトガルの植民地ね。それからカリブ海地域には、スペインの他イギリスやフランスも入っていったけど、これは最後に説明します。

 それで、メキシコ以南のほとんどがスペインとポルトガルの植民地になったから、この地域をラテンアメリカと言うようになったんです。[板書:メキシコ以南…ラテンアメリカ]教科書の一番後ろの世界地図、見てみて。[少し時間をとり、机間巡視]大丈夫かな? はい、それで、どうして「ラテン」がついてるのか? これはね、スペイン人もポルトガル人もラテン系の民族だったから。[板書:ラテン系のスペイン人・ポルトガル人の影響を受けたアメリカ]ラテン系の民族に支配されて、その影響を強く受けたアメリカという意味で、ラテンアメリカって言うようになったんだ。スペイン人が支配したところはスペイン語を話すようになったし、ブラジルはポルトガル語を話すようになった。

 宗教も影響を受けた。スペイン人やポルトガル人の宗教は何だった? (生徒たちはキョトンとしている。なぜか、わかりにくいようだ。)宗教改革のところでやったよね。カトリックプロテスタントのどっちだった? (ある生徒「プロテスタント」。)んー、カトリックだよ。スペイン、ポルトガル、イタリアはカトリックだからね![板書:カトリック]世界史は、こういうところが重要![板書:民族・宗教・言語に注意!]本当はインディオの宗教があったんだけど、だんだんカトリックと融合した。支配するって、すごいんだね。言葉も宗教も、支配者の言葉、支配者の宗教になっていくんだ。

 じゃ、まとめるよ。メキシコ以南がラテン系のスペインとポルトガルの植民地になったから、ラテンアメリカと呼ばれるようになった。大丈夫ね? (生徒たち、うなずく。)だから、今ラテン音楽っていうと、この地域の音楽を言うよね。(何人かの生徒がうなずく。)それから、宗教はカトリックになった。

 ラテンアメリカとちょっと区別しなきゃなんないのは、カリブ海地域。地図、見てみようね。まず、キューバを見て。わかったかな。[少し時間をとりながら]キューバからジャマイカ、ハイチと続いて、ベネズエラ近くのトリニダード・トバゴまで。島がいっぱいだね。それから、島々の南側見て。「カリブ海」って書いてあるでしょ。ここが、カリブ海地域。キューバはスペインの植民地になったんだけど、ここをイギリスやフランスも植民地化した。えーと、イギリス人を民族で言う時は、何て言うんだっけ? (生徒たち、沈黙。)アングロ・サクソンだよ。ラテン民族じゃないんだ。だから、この島々を「ラテンアメリカ」っては言えないよね。陸上の短距離に強いジャマイカは、昔イギリスの植民地だったんだよ。(「ボルト!」と言ってくれた生徒も。)そうそう! それで、ネットでね、イギリスの放送局のニュース見たりすると、メキシコ、キューバ以南を「ラテンアメリカカリブ海地域」と言ってる。これが、今の言い方。[板書:ラテンアメリカカリブ海地域]「カナダとアメリカ合衆国」に対して、「ラテンアメリカカリブ海地域」と呼ぶんだよ。イギリスの植民地は、宗教はプロテスタントになった。フランスの植民地は、カトリックね。

 最後にちょっとだけ補足すると、中南米っていう言い方もあるね。まぎらわしいんだけど、中南米っていう場合はメキシコは入らないんだって。私も最近初めて知ったんだけど、正しく言うと、メキシコは北米、北アメリカに含まれるそうです。北米大陸の一番南側という見方なんだね。

 中米、中央アメリカは、グアテマラからパナマまでだけど、ここでは、「ラテンアメリカカリブ海地域」の範囲をしっかり押さえてね。

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