世界史ミニ授業(古代)【ギリシアの劇作家】

三大悲劇詩人(作家)というのは、覚えづらいと思います[板書:悲劇詩人、アイスキュロスソフォクレスエウリピデス]。喜劇作家は普通アリストファネスだけだから[板書:喜劇のアリストファネス]、こう覚えておけば、センター試験なんかでは対応できるできる場合もあると思います。「悲劇詩人アリストファネス」っていうような誤った文がすぐわかるからね。

 ただ、丸暗記じゃなく、少し理解しておけば忘れないから、ちょっと話しておきます。古代ギリシアでは演劇が盛んだったんだけど、コンクールがあったんです。これがおもしろいね。スポーツの方はオリンピアの祭典があって、「競い合い」がギリシア人の特徴だったんだ、ギリシア語でアゴーンと言う[板書:競い合い]。今では普通って言うか、何でも競い合いだけど、古代では珍しいんじゃないかな。他の地域では、こういう「競い合い」はなかったと思うよ。エジプトやメソポタミアでは聞いたことないもんね。中国でも。

 それで、時代的には、アイスキュロスペルシア戦争の時期の人で、ペルシア戦争に従軍している。ソフォクレスエウリピデスペリクレス時代が中心。
 アイスキュロスの代表作は、『アガメムノン』。トロイア戦争の時の総大将アガメムノンの王妃殺害がテーマになってる。なお、アイスキュロスがすごいのは、『ペルシア人』ていう作品で、ペルシア戦争で敗れたペルシア人の立場も考えていること。
 それから、ソフォクレスの『オイディプス王』は覚えておいて[板書:ソフォクレスオイディプス王』]。これは、時間がないから話せないけど、すごく面白い話だから、読んでみて。岩波文庫に入ってるから。「過酷な運命の中で生きる人間」っていう感じかな。。んー、一つだけ言っておくと、この話が精神分析学者のフロイトに影響を与えた。[板書:19C末〜20C前半の精神分析学者フロイト、エディプス(オイディプス)・コンプレックス]エディプス・コンプレックスっていう概念もおもしろいからね。
 エウリピデスの代表作は、『(王女)メディア』[板書:エウリピデス『(王女)メディア』]。王女メディアの狂おしいような恋愛を描いているらしいよ。

 喜劇の方だけど、アリストファネスの喜劇には『女の平和』という作品があって[板書:『女の平和』、ペロポネソス戦争の風刺]、ペロポネソス戦争を風刺してる。これはすごいね。資料集の最後に、その一部が載ってるから読んでみて。風刺って、わかる? 社会や人間を笑いの対象にしながら批判すること。後で、ルネサンスでも出てくるからね。

 アイスキュロスでもアリストファネスでも、コンクールの中で、アテネを相対化してるのはすごいと思う。あと、悲劇ではコロスという合唱隊があって、コーラスの語源になってるからね。

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