世界史ミニ授業(古代)【諸子百家(道家)】

諸子百家を世界史でどの程度取り上げるか、どんな風にわかりやすく話したらいいか、いつも悩んでいます。特に道家の思想を生徒たちに伝えるのは、至難の業です。

★それでは、諸子百家の続きね。諸子百家って、どういう意味だっけ? (数人の生徒、答える。)そうだね、「たくさんの思想家と学派」だね。今日は、儒家に続いて、二つ目の学派、道家をやります。[板書:道家]道ということを考えた学派ね。代表的な思想家は、この二人。[板書:老子荘子老子荘子。それで、この人たちはどんなことを考えたかっていうとね、これが難しいんだ。一応、わかりやすく話すからね。[板書:儒家の道徳を批判]これはすごいね、孔子の考え方を批判したっていうのは。特に、老子がね。ちょっと振り返っておくと、孔子は、人間にとって大切なのは何と何って言ったんだっけ? (生徒たち「仁と礼」)そうだね、それを批判したって、どういうことなんだろう? 

 道家の考え方を書いてみるね。[板書:(   )を超えた、自然の大きな流れに沿った生き方が大切]こう考えたんだ。この空欄、わかるかなァ。空欄に何ていう語が入ると思う? じゃ、ちょっと時間とるから、周りの人と相談してみて。(生徒たち、いろいろ話し合っている。)えーとね、ヒントを言うと、漢字二字です。(1分ぐらい待って)はい、それでは、だれでも自由に言ってみて。(ある生徒「宇宙」)宇宙? んー、そうかァ、宇宙だと、宇宙を超えたってなっちゃうね。宇宙を超えるって、たいへんなことだよ。(答えた当人も含めて、生徒たち笑っている。)宇宙って、むしろ「自然の大きな流れ」のことじゃないの。えーとね、二つ目のヒントね。儒家の「儒」ってもともとどういう意味だったかな。[儒にはもともと人の意味がある。]はい、空欄に入る言葉は何だろう? [ある生徒「人類!」]なるほど、「人類を超えた」ね、大体いいかな、ここでは「自然」と対置させてこっちの方がいいでしょう。[空欄に板書:人間](書いている途中で、「当たった!」という声。)

 みんな、すごいね、わかったね。もうちょっと説明するよ。ここの部分[「人間を超えた、自然の大きな流れ」にアンダーライン]を「道」と呼んだんだ。[板書:道]宇宙的な何かだね。そして、ここの部分[「人間を超えた、自然の大きな流れに沿った生き方」に、別な色のチョークでアンダーライン]を、こう呼んだ。これ、ものすごく重要ね、道家の思想を集約した四字熟語。[板書:無為自然]これを理解するのは難しいかも知れないけど、簡単に言うと、仁とか礼って言っても人間の世界の小さなことだ、もっと大きな世界を考えて生きる方がいいんだっていうことかな。

 漢文でも出てくるかも知れないからね。その時、思い出して。なお、道家の思想がもとになって、後で道教という宗教ができるからね。[板書:→道教]以上、道家でした。ドウカな、わかったかな?(生徒たち、反応せず。)

儒家の方が説明しやすいでしょう。しかし、そこにも落とし穴があります。孔子の深さと非凡さを伝えることは、たやすくはありません。

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