世界史ミニ授業(古代)【ブッダはこう考えた(その1)】

ガウタマ・シッダールタの生涯を見てみましたけど、シッダールタの別の呼び方を確認しておくね。[板書:シッダールタの尊称 ①ブッダ]尊称って、尊敬して言う時の呼び方。で、ブッダは、もともとの意味は[板書:真理に目覚めた者]、「真理に目覚めた者」。この真理って何かは、これからやるからね。言い換えると、こう言ってもいいね。[板書:(悟りをひらいた人)]

 それから、ブッダは、ヨーロッパやアメリカでは、こう書きます。[板書: Buddha ] ここから、生まれた言葉が[板書: → Buddhism , Buddhist ]ブディズム、ブディスト。 ism がついてるんだけど、英語で ism が語尾に付く単語は、普通何て訳してんの? ○○さん、どうかな? [○○さん「主義」]そうだね。[板書:‐ism=〜主義(〜の考え方、〜の思想)]日本語で「主義」がついてる言葉は、だいたい英語なんかの訳なんだよ。「資本主義」とかね。キャピタリズムの訳。少しやわらかく言うと、「〜の考え方」。だから、ブディズムは、「ブッダの考え方」ということになるね。つまり、仏教のことだよ。仏教を、英語ではブディズムって言うんだ。ブディストは、仏教徒の意味。 ist がつくと、人を表すんだよね。他にどんな語があるかって言うと、[すかさず、△△さん「スペシャリスト」]すごい。△△さん、英語のスペシャリストだね。(生徒たち、ニコニコしている。)

 もう一つの尊称は、シャカ。[板書:②シャカ=シャカ族の聖者]シッダールタが属していた部族をシャカ族って言うんだって。そこに現れた聖者っていう意味。正しくは、シャカムニって言うんだけど、それを短くしてシャカ。日本では、親しみを込めて「おしゃかさま」って言うね。ブッダ、シャカは、漢字でも書くね。[板書:仏陀、釈迦]インドでは、漢字は使わないよ。当たり前だけど。仏教がインドから中国に伝わって、漢字で書くようになったんだね。それが、日本に伝わった。仏教の「仏」は仏陀の「仏」だよ。仏陀の教え、仏教ね。

 じゃ、これから、ブッダの考え方にいくよ。仏教ってどういう考え方なのか、ブッダは人生をどう考えたのか。[板書:ブッダの考え方]これを教えるのは、結構難しいんだ。私がどれだけ仏教を理解しているか、表れちゃうからね。考え方、いくつかあるんだけど、4つに絞って話すね。

 まず、ブッダは、こう考えた。[板書:①人生は苦悩に満ちている]こういう考えが、非常に強くあります。みんなは、どう思うかな? ここは、いい、覚えるっていうより、受けとめて、自分で考えるんだよ。特に、4つの苦しみを挙げている。[板書:四苦=(  )、老、病、死]老いること、病気になること、死ぬこと、どれも苦しみだね。誰も避けられない。これに、さらに4つの苦しみを加えて、何て言うかわかる? どうやってもうまくいかなくて苦労することを何て言うの? (生徒たち「四苦八苦」)そうだね。[板書:四苦八苦]これ、もともと仏教用語なんだよ。

 はい、それで、1つ目、空欄にしておいたんだけど、何だろうね? ちょっと考えてみて。[少し時間をとる。]どうだろう、…その言葉聞いたら、「えっ?」って思うかな? そんなこと、考えたくないって思うかな? はい、自由に言ってみて。(□□さん「愛」)愛かァ、どうしてそう思ったの? 。(□□さん「[微笑みながら]愛すると苦しいから」)[他の生徒たち、ニコニコしている。]そうか、恋愛の愛ね。苦しい時、あるね。(□□さん、うなずいている。)それは、また後で出てくるからね。ここは違うんだ。この文字の並び、見て。「死」で終わってんだよ。(○△さん「生まれる」)そうなんです! [板書:生]生まれることも苦しみだって言うんだ。「しょう」って読むからね。[板書:「しょう」のふりがな]「しょう、ろう、びょう、し」。ただ、私ね、生まれることも苦しみって、何か納得できなかったのね。赤ちゃん生まれたら、みんな喜んで祝福するよね。でもね、こういう考え方なんだって。[板書:自分の思う通りにならない]4つとも、自分の思い通りにはならない。そう言われると、そうだね。誰も日本人に生まれたいって思って生まれる人いないもんね。「人生は苦悩に満ちている、これが現実だ、現実をよく見るとこうだ」って、お釈迦さまは言ったんだね。

※仏教を国際的な視野で考えるために、また生徒たちが「古くさい宗教」と考えないようにするために、あえて Buddhism , Buddhist という語を出しています。

※世界史の授業としては、内容に立ち入り過ぎているでしょう。しかし、重要語句を並べて終わりという授業にはしたくありません。「倫理」を学習しない場合もありますので、「これだけは伝えておきたい」という気持ちに、どうしてもなってしまいます。

【ブッダはこう考えた(その2)】
→ 授業観については 【授業を考える(ミニ授業の公開にあたって)】