<問いからつくる世界史の授業>(近世)【ザビエル①[ザビエルの大航海]】

★あまりにもよく知られた人物について取り上げます。ザビエルについて、あるいはザビエルと日本について、より深く知ることを目的としたオリジナル問題を、2回にわたり紹介してみます。

★今回の問題は、比較的解きやすいように作問してあります。ただ、難しく感じる生徒もいるかも知れません。生徒たちは「イエズス会の結成に参加し、1549年日本にやって来て、初めてキリスト教を伝えた」というようにしか習わないからです。また、歴史の地理的把握が苦手な生徒も、少なくありません。[このあたりにも、日本の歴史教育の問題点があります。]

★授業は<問題+解説(◆の部分)>で構成します。


問題☆[標準]

 次の①〜⑤の中には、ザビエルの生涯に直接関係のない都市が、一つ含まれている。それは、どれか。

 ① パリ
 ② リスボン
 ③ バタヴィア
 ④ ゴア
 ⑤ マラッカ

【正解は、③のバタヴィアです。】


◇以下では、各選択肢の要点を簡潔に記しますが、解説のしかたがとても重要です。実際の授業では、質問を多くして確認するようにしています。また、一部立ち入った説明をしています。

◆ザビエルはパリ大学で学びました。そこで、イグナティウス・ロヨラに出会います。イエズス会の結成もパリです。

イエズス会のザビエルが、ポルトガル王(ジョアン3世)の依頼を受けてアジアにやって来たことが重要です(*)。ザビエルの一行は、リスボンを出港しました。

◆当然のことながら、ポルトガルのアジアにおける拠点であるゴアに到着し、マラッカにも滞在します。ザビエルはもともと中国布教を目指していましたが、マラッカで日本人アンジローに出会い、日本にやって来ることになります。アンジローについては、必ず触れることにしています。

バタヴィアは、17世紀の前半以降、オランダが拠点とした都市です。ザビエルが亡くなって、半世紀以上たってからです。

□古来、無数の人びとが旅をしてきました。国境を越えて旅をした人びとも、数限りなくいました。ザビエルもまた、グローバルなミッションのために「旅を栖と」したのでした。ザビエルは、今も、インドのゴアの教会で眠っています(**)。

(*)授業では、大航海と対抗宗教改革がクロスするところから、ザビエルを取り上げています。

(**)授業では、ザビエルの遺体にまつわるエピソードを紹介しています。


※ザビエルとその遺体にまつわるエピソードについては、次のページをご覧ください。 ➡ 【ザビエルの遺骸】

<問いからつくる世界史の授業>【ザビエル②(ザビエルの見た日本)】

こんな考え方で書いていきます【<問いからつくる世界史の授業>について】