<問いからつくる世界史の授業>(近世〜現代)【ウルドゥー語を考える】

★ある文化と他の文化の交流・融合は、世界史のたいへん重要な要素です。ただ、交流・融合の中からできた言語について教えるのは、簡単ではありません。

★たとえばウルドゥー語パキスタン公用語ですが、北インドの言語にペルシア語、アラビア語の語彙が多数加わって成立しました(アラビア文字を使用し、右から読み書きします)。しかし、私自身、実際にウルドゥー語を聞いたことはありません。したがって、一応説明して覚えさせるということになります。

★これはやむをえないことなのですが、授業の中で少しでも言語を身近に感じられるよう工夫することはできます。そのような工夫の一つとして、今回のオリジナル問題をご覧ください。

★授業は<問題+解説(◆の部分)>で構成します。


問題☆[プラスα]

ウルドゥー語を語源とする語を、次の①〜④のうちから一つ選べ。

 ① シュガー
 ② バザール
 ③ パジャマ
 ④ カステラ

※正解は、③のパジャマです。


◆本来はゆったりしたズボンの部分だけを言ったそうですが、上衣も含めるようになりました。この語が英語に入ったのは、イギリスがインドを植民地として支配したからです(ここが重要です)。イギリス人が北インドの服装を寝間着として取り入れ、パジャマという語が広まったのです。

◆なお、ヒンディー語でもパジャマと言うそうです。文章語は別ですが、日常会話では、ウルドゥー語ヒンディー語は十分通じるとのことです。

◇①・②・④は他の言語が語源であることを思い出せるように、作問してあります。

◆①にアルコールなどの語をおけば、よりわかりやすい問題になると思います。シュガーもアラビア語が語源ですが、なぜシュガーがアラビア語からきたのかを説明した教科書・図表は見たことがありません(このことは、現在の世界史の不十分さを表しています)。ここでは詳述できませんが、サトウキビの本格的な栽培がイスラーム世界から始まったことだけは、理解しておく必要があります。

◆バザールとスークについて確認します。なお、授業ではペルシア語の重要性を話しています。そうでないと、ムガル帝国公用語がペルシア語であったことが理解できません。

◆④は、ポルトガル人が日本にもたらした語です。


こんな考え方で書いていきます【<問いからつくる世界史の授業>について】