★新科目「世界史探究」に向けて −「考える世界史の授業」を!−

◆「アクティブ・ラーニング」という語が独り歩きしている印象は否めませんが、授業のありかたを考え直すきっかけになっているとは思います。

◆しかし、「歴史=暗記」という学習から、具体的にどうやって脱皮していけばいいのでしょう?

◆たとえば、膨大な知識の習得を目指す「世界史B」の授業で、「考える」、「考えを発表する」という学習活動は可能でしょうか? 以前は難しいと思っていましたが、いろいろ試行錯誤するうちに、可能だと考えるようになりました。

◆2022年度からの新科目「世界史探究」や「歴史総合」の授業では、従来よりも「考える活動」が重視されるはずです。また、2021年からの新しい共通テストでも、一定程度、思考力をみる出題がなされるでしょう。

◆したがって、現行の「世界史B」・「世界史A」の授業にも、「考える活動」を組み込んでいかなければなりません。

◆そこで、「考える世界史の授業」の例を、何回かにわたり書いてみることにしました。机上のプランではなく、実際に行った授業をもとにしています。

◆<問いからつくる世界史の授業>のシリーズを発展させたものになります。<問いからつくる世界史の授業>と異なる点は、「なぜ?」という問いを中心にしていることです。

◆ただ、高校教育の現場の状況を考えると、また次期教育課程の実施状況を想定してみても、「革命的な」取り組みを求めることは難しいと思います。そこで、「通常の授業時間の中で、考えることをうながす工夫」に、焦点を絞ってみました。

◆生徒たちの状況にもよりますが、1コマの中で10分から15分程度使えば実施できるものを書いていく予定です。2週間に1度でもそのような授業を行うことができれば、教師も生徒も変わっていくと思います。

◆もちろん、話し合いや発表の時間を十分にとったり、発展的な解説をしたりすれば、1コマ全部必要になる場合もあるでしょう。


■シリーズ「考える世界史の授業」では、生徒たちの「理解」や「探究」、「発見」のために、教える側で「なぜ?」「どうして?」という問いを準備します。

■どんな問いを準備するかが重要です。また、問いかけのし方、ヒントの出し方、生徒の考えの受けとめ方、解説のし方など、工夫すべきことがたくさん出てくるでしょう。多角的な歴史理解のためには、今まで使われていない史料の教材化も必要になるかも知れません。

■このような授業がある程度定着すれば、生徒たちから「なぜ?」、「どうして?」という問いが出てくるようになると思います。


◆なお、紹介する授業は固定的なものではありません。さまざまなヴァリエーションが可能です。さまざまなヴァリエーションを創っていくことが、授業という営みの楽しさでもあります。


◆新科目「世界史探究」・「歴史総合」の実施まで、それほど余裕があるわけではありません。現行の「世界史B」や「世界史A」の中で、新しい試みを行いながら準備していく必要があります。

◆新しい科目が名ばかりになり、「探究」でも「総合」でもなくなるような悲喜劇が起こらないことを願っています。


◇次回は、<カエサルアウグストゥス>をテーマとした「考える授業」です。最初ですので、「基本的な理解」を中心にした授業になります。➡ 【こんな「考える授業」をしてみました①】