近代

■アメリカ合衆国 の光と影[史料とコメント](その1)

■就任したばかりのトランプ大統領のニュースを見ない日はありません。■アメリカ社会の分断はおさまっていくのでしょうか? 2017年は、やがて、世界が混乱するきっかけになった年と位置付けられることになるのでしょうか?■トランプ大統領の登場は、私に「も…

近代 北アメリカ 【アメリカの文化的独立】

★「アメリカ独立宣言」は、1776年7月4日に発表された。アメリカの独立の年を1776年とするのが、通常の考え方である。しかし、パリ条約締結の1783年が正式の独立だとする考え方も、「アメリカ合衆国憲法」制定の1787年とする考え方も成り立つ。場合によって…

近代 南アジア 【インド大反乱とイギリス】

★長崎暢子の『インド大反乱 一八五七年』は、印象的な叙述から始まっていた。 『五月十日の昼下がり、、メーラト基地に駐屯する一人のインド人兵士がソフィーという馴染みの娼婦におそるべきニュースをささやいた。 「今日、俺たちは反乱するぞ」』 インド大…

近代 東アジア 【清という帝国と儒学者たち】

★江戸前期の日本で「華夷変態」と呼ばれたように、明から清への王朝交代によって再び「夷狄」の王朝が中国を支配することになった。これは、「華夷の別」を主張してきた儒学(特に主流の朱子学)にとっては、容易ならざる事態であった。明末清初の転換期を生…

近代 ヨーロッパ 【書くキルケゴール】

★セーレン・キルケゴール(1813〜55、デンマーク)は、日本では1960年代を中心に読まれたが、今では「哲学史博物館」の実存哲学の部屋に展示されている。キリスト教的実存主義と分類され、20世紀のヤスパース、ハイデガー、サルトルの先駆者として、コーナー…

近代 ヨーロッパ 【フランス革命と祭典】

啓蒙思想において光で表されてきた理性は、フランス革命(1789〜99)では擬人化された。革命の祭りの中では、人形や絵によってではなく、生きた女性によって表現された。 フランスの詩人ミストラルが晩年に(20世紀初め)語った思い出の中に、リケルというお…

近代 東アジア 【アメリカ東インド艦隊、浦賀へ】

★1953年(嘉永6年)7月8日、ペリー司令長官率いるアメリカ東インド艦隊4隻が浦賀沖に現れた。うち2隻は、当時最新鋭の蒸気軍艦(マストもあり蒸気走と帆走を兼ねた)であった。アメリカ人フルトンが蒸気船を発明してから(1807)、わずか46年後のことで…

近代 北アメリカ 【黒人奴隷にとって、7月4日は】

★19世紀、まだ誕生して間もないアメリカ合衆国は、さまざまな問題に直面していたが、特に奴隷制度は大きな問題となっていた。合衆国憲法も黒人奴隷を市民とは見なしていなかった。 「良心的」で「人道的」な人々は、解放奴隷(逃亡奴隷を含む、自由民となっ…

近代 ヨーロッパ 【「マジャールの魂」】

■1848年、パリの二月革命は、瞬く間にヨーロッパ中に波及した。ウィーンでもベルリンでも三月革命が起こった。 3月13日、学生・市民・手工業者たちは議事堂に乱入して軍隊と衝突、群衆は王宮を取り囲んだ。14日にはメッテルニヒがロンドンに亡命し、ウィー…

近代 ヨーロッパ 【ランボーは、ヨーロッパを去った】

◆19世紀の後半、一人の詩人が疾風のようにフランスを駆け抜けていった。アルチュール・ランボー(1854〜91)。1873年、18歳で詩集『地獄の季節』を出版したランボーは、翌年詩集『イリュミナシオン』を完成し、原稿を詩人ヴェルレーヌに託した。しかし、20歳…

近代 東アジア 【「太平天国」の夢】

★洪秀全(1814〜64)らが中心となった太平天国の乱(1851〜64)は、キリスト教の影響を受けた反乱であった。ただ、洪秀全らが組織した拝上帝会は、中国の伝統思想や土俗的な信仰に基づく面を強く持っていた。 客家(はっか)出身の洪秀全は、4度目の科挙受験…

近代 北アメリカ 【詩人ホイットマンが、侍たちを見た】

★1860年6月ニューヨークで、アメリカの詩人ホイットマンは、日本からやって来た侍たちを見た。幕府の遣米使節団の一行(77名)が、日米修好通商条約(1858)の批准書交換のため、アメリカに滞在していたのである。使節団一行は大歓迎を受け、日米の国旗が飾…

近代 ヨーロッパ 【自由の女神 −フランス革命〜ドラクロワ−】

◆「民衆を導く自由の女神」は、フランスを代表する絵画である。ロマン派の旗手ドラクロワが、1830年の七月革命を題材に、その年のうちに描いた。七月革命では、反動的なシャルル10世のブルボン復古王政が倒れ、ルイ=フィリップの立憲王政が成立した。しかし…

近代 ヨーロッパ 【ワルシャワのマリヤ・スクウォドフスカ】

★1878年、ポーランドはロシア支配下にあった。ワルシャワの学校で、10歳のマリヤ・スクウォドフスカが、視学官からロシア語で(ポーランド語ではなく)質問されていた。「われわれを統治したもう方は?」マリヤは、少しためらったあと、ロシア語で答えた。「…