2013-01-01から1年間の記事一覧

世界史ミニ授業【中国史における都(その2)】

★唐が滅んだ後の北宋、南宋の都について見ますね。北宋の都は? (生徒たち「開封」)そうだね。[板書:北宋の開封]五代のうち4つの王朝が開封に都をおいて、北宋もそれを引き継いだかたちだ。じゃ、南宋の都は? (生徒たち、一瞬沈黙。ある生徒「臨安」…

世界史ミニ授業【中国史における都(その1)】

★今日は課外授業なので、中国史の都について、まとめてやってみますね。 まず、古代から中世では、都の場所は二つの地方に限定されます。中世っていうのは、魏晋南北朝から唐までね。簡単な地図を書くと[板書:黄河の流れとそれに合流する渭水]、…大丈夫か…

世界史ミニ授業(中世末期)【ルネサンスの始まり】

★今日からルネサンスに入るかと思うと、なんかドキドキします。それだけ魅力的なんです。[板書:ルネサンスの始まり]それで、近世(近代前期)の始まりのところでルネサンスをやるわけなんですけど、実際は、ルネサンスの始まりは、中世末期のイタリア、14…

世界史ミニ授業(古代)【「マルコ福音書」のイエス】

★『新約聖書』に入ってるいろいろな文書は、1世紀半ば頃から書かれて、2世紀末にはほぼ現在の形に近くなった。2世紀末ってことは、ローマのどういう時代? 五賢帝の時代が終わった頃だね。(生徒たち、うなずく。)五賢帝の最後は誰だっけ? (生徒たちの…

世界史ミニ授業(古代)【諸子百家(道家)】

※諸子百家を世界史でどの程度取り上げるか、どんな風にわかりやすく話したらいいか、いつも悩んでいます。特に道家の思想を生徒たちに伝えるのは、至難の業です。★それでは、諸子百家の続きね。諸子百家って、どういう意味だっけ? (数人の生徒、答える。)…

【★世界史の授業を考える(ミニ授業の公開にあたって)】

<はじめに>■本ブログは、日々の世界史の授業から出発し、さまざまなテーマで世界史を考えながら、日々の授業に戻っていくというスタイルをとっています。■各テーマ史のややカタい内容も、その多くは授業と関わったものです。直接授業に取り入れた内容も、…

世界史ミニ授業(古代)【文化と文明】

都市、国家、文字が出現した時期から、歴史時代になるわけです。古代文明の時代ですね。これからオリエント文明に入るわけなんですけど、その前にちょっと文化と文明についてやっておきたいと思います。[板書:文化と文明] 両方とも何となく使ってるんだけ…

世界史ミニ授業(近世)【どこだろう? ラテンアメリカとカリブ海地域】

こうして、メキシコから南の多くの地域がスペインの支配下に入った。ただ広大なブラジルは、ポルトガルの植民地ね。それからカリブ海地域には、スペインの他イギリスやフランスも入っていったけど、これは最後に説明します。 それで、メキシコ以南のほとんど…

世界史ミニ授業(古代)【ギリシアの劇作家】

★三大悲劇詩人(作家)というのは、覚えづらいと思います[板書:悲劇詩人、アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデス]。喜劇作家は普通アリストファネスだけだから[板書:喜劇のアリストファネス]、こう覚えておけば、センター試験なんかでは対応でき…

世界史ミニ授業(先史)【ネアンデルタール人(埋葬・花・謎)】

★旧人の代表がネアンデルタール人です。[板書:ネアンデルタール人]ネアンデルタールは、ドイツの地名です。少なくとも20万年前には、ヨーロッパから西アジアに住んでいた。一部は中央アジアにも。剥片石器、資料集見てみて、剥片石器という進んだ石器で毛…

現代 東アジア 【詩人・尹東柱が生きた時代】

★1941年12月、「戦時学制短縮」により尹東柱(ユン・ドンジュ、1917年12月生まれ)は、ソウルのヨニ専門学校(現延世大学校)文科を卒業した。卒業記念に自選詩集『空と風と星と詩』の出版が計画されたがうまくいかず、自筆で3部の詩集が作られた。その中の…

▶書評 【柄谷行人『哲学の起源』(その2)】

<通説との接ぎ木> ■序章では、前6世紀〜前5世紀に関する、通説的な倫理思想史(たとえばヤスパースの「世界史の基軸時代」が思い出される)が紹介され、それに柄谷の交換様式説が接ぎ木されている。倫理思想史そのものはやや古めかしく平板で、新しい視…

▶書評 【柄谷行人『哲学の起源』(その1)】

■哲学の始まりを叙述した書物はあまたあるが、哲学の起源を探求した書物は少ない。その探求には、たいへんな力が必要とされる。それを、柄谷は行おうとした。■哲学への希求は、すべての人の心にある。その意味では、『哲学の起源』は、人々の関心の根底に触…

中世 西アジア・ヨーロッパ 【オスマン朝の勃興とバルカン支配】

★アナトリア北西部に誕生したトルコ系オスマン朝は、すでに14世紀にはバルカン半島(南東ヨーロッパ)を支配するにいたった。これは大きく見れば、ウマイヤ朝のイベリア半島進出(8世紀)のような、イスラーム勢力の西進であったが、何がオスマン朝のバルカ…

総合 ラテンアメリカ 【クレオール】

★新しい社会関係の中で、異なる母語を持つ人々が、コミュニケイトしようとする時生み出される、橋渡しのオーラルな言語は、ピジンと呼ばれる。長年話される中で、ピジンの発展したものがクレオールである。橋渡しの域を越え、その社会に生きる人々のかけがえ…

 【2013センター試験問題「世界史B」について】

■センター試験問題の内容は,、高校教育の現場に大きな影響を与える。その意味では常に良問が求められるのだが、今回はどうだっただろうか。「傾向と対策」的な分析は予備校等で詳細になされると思うので、ここでは「世界史教育のありかた」に関連して、いく…

総合 北アメリカ 【カナダの多文化主義】

★カナダについて、一般に日本人はよいイメージを持っている。かえでの葉をデザインした国旗の親しみやすさのためかも知れない。また『赤毛のアン』がよく知られているからかも知れない。現在は先進国の一角を占めてはいるが、「覇権」とは無縁だったためかも…

中世 ヨーロッパ 【魅惑のノルマン・シチリア王国】

★シチリアは、地中海の中央に位置し、古代から文明の十字路だった。フェニキア人、ギリシア人、ローマ人、アラブ人などが、入れ替わり立ち替わり島にやって来た。シチリアの多文化性が最も花開いたのは、12世紀のノルマン・シチリア王国においてであった。(…

世界史B教科書の記述を比較してみると10 【南京事件 および まとめ】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【「日中戦争における南京虐殺」の記述】 歴史認識に関わる、たいへんセンシティブなテーマですが、高校世界史で避けるて通ることはできません。あえて取り上げることにしました。政治的問題とは一…

世界史B教科書の記述を比較してみると9 【地図(宗教改革後の宗派分布)】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【地図(宗教改革後のヨーロッパの宗派分布)】 ■世界史教科書における地図は理解を深めるために極めて重要ですが、詳しく見ると、教科書によって少なからず違いがあることがわかます。「宗教改革後…

世界史B教科書の記述を比較してみると8 【イェニチェリ】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【「オスマン帝国のイェニチェリ」の記述】 ■世界史においてイスラーム世界の理解は極めて重要ですが、生徒たちにとってはイスラーム用語の理解は容易ではありません。イェニチェリを例に、簡単な比…

世界史B教科書の記述を比較してみると7 【聖母マリア信仰】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【聖母マリア信仰の記述】★誤解を避けるために、あらかじめお断りしておかなければなりませんが、このテーマを取り上げるのは、信仰の立場からではありません。「あるべき世界史教科書」という観点…

世界史B教科書の記述を比較してみると6 【20世紀の文化】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【「20世紀の文化」の位置づけ・内容】 「20世紀の文化」はまさに私たちの中に生きており、それをきちんと対象化することは極めて重要です。しかし、高校「世界史」の中では、多くの場合(教科書で…

世界史B教科書の記述を比較してみると5 【19世紀の欧米文化】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【「19世紀欧米文化」の位置づけ・内容】■19世紀の欧米文化は現代への影響が大きく、たいへん重要です。実際の授業でも、きちんと取り上げたいものです。(たとえば、ドストエフスキーなどの名前す…

世界史B教科書の記述を比較してみると4 【ジェンダー】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【ジェンダー】 ■現在の歴史研究では、「ジェンダー視点」抜きに歴史を語ったり叙述したりすることはできないでしょう。近年のジェンダー研究の成果が高校の世界史教科書にどのように表れているか、…

世界史B教科書の記述を比較してみると3 【トルコ人のイスラーム化】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【「トルコ人のイスラーム化」の位置づけ・記述のしかた】■世界史の授業において、どのようなコンテクストで「トルコ人のイスラーム化」や「トルキスタンの成立」を取り上げるかは、重要な課題とな…

世界史B教科書の記述を比較してみると2 【12世紀頃までの東南アジア】

※目的・対象教科書・評価については、【比較してみると1】【12世紀頃までの東南アジア】 ■授業での東南アジアの取り上げ方は、難しいものがあります。各教科書も、東南アジアの取り上げ方には、かなりの違いが見られます。諸島部のイスラーム化が始まる前ま…

世界史B教科書の記述を比較してみると1 【はじめに および ルネサンス】

【はじめに】■世界史教育の充実のためには、教師の力量の向上とともに、すぐれたテキストが必要です。高校生が手にする教科書が世界史のテキストとして適切なものとなっているかどうか、詳しい検討が欠かせません。■これから、10のテーマを設定し、新課程用…