<問いからつくる世界史・歴史総合の授業>(近代)【ペリー来航②[浦賀に来航する前]】

★ペリー来航に関するオリジナル問題の2問目です。なお前回の問題1から次回の問題3は、時系列に沿って並べています。★授業は<問題+解説(◆の部分)>で構成します。生徒たちの状況によっては、浦賀が現在の神奈川県横須賀市であることを確認した方がいい…

<問いからつくる世界史・歴史総合の授業>(近代)【ペリー来航①[軍人ペリー]】

★1853年(嘉永六年)7月(陰暦6月)のペリー来航と翌年2月(陰暦1月)の再来航については、授業の中でできるだけ時間を割く努力を続けてきました。日本の歴史にとって重要であるばかりでなく、アメリカの東アジア〜太平洋進出という点でも重要だからです…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]⑨【坂部恵『ヨーロッパ精神史入門』】

★実は、「入門書」ではありません。講義調で書かれていますので多少読みやすくはなっているものの、かなり高度な内容です。カロリング・ルネサンスから現代までのヨーロッパ哲学・文学の根底を流れているものについて、縦横無尽に述べられています。ほとんど…

<問いからつくる世界史の授業>(近世〜現代)【ウルドゥー語を考える】

★ある文化と他の文化の交流・融合は、世界史のたいへん重要な要素です。ただ、交流・融合の中からできた言語について教えるのは、簡単ではありません。★たとえばウルドゥー語はパキスタンの公用語ですが、北インドの言語にペルシア語、アラビア語の語彙が多…

<問いからつくる世界史の授業>(近世)【ザビエル①[ザビエルの大航海]】

★あまりにもよく知られた人物について取り上げます。ザビエルについて、あるいはザビエルと日本について、より深く知ることを目的としたオリジナル問題を、2回にわたり紹介してみます。★今回の問題は、比較的解きやすいように作問してあります。ただ、難し…

<問いからつくる世界史の授業[資料]>(近世)【デカルトが住んだ国】

★歴史は総合的なものです。本来豊かである文化史を単に暗記させるような授業は避けなければなりません。文化を時代全体の動きの中に位置づけることが大切ですが、今回はそのためのオリジナル問題です。★「考える世界史」の近づけるため、資料を使った問題に…

<問いからつくる世界史の授業>(近世〜近代)【奴隷貿易の中から生まれた歌】

★世界史の中で、音楽は軽い(不当なと言うべきでしょうか)扱いを受けています。通常、17〜19世紀のクラシック音楽の作曲家たちにちょっと触れただけで終わってしまうでしょう。このことは、多分、世界史のありかたの根本的なところに関わっていると思います…

★津野田興一「アケメネス朝ペルシャの言語」(朝日新聞)への疑問

★「朝日新聞」(2015年5月28日付)に掲載された「歴試学のススメ(世界史編)・アケメネス朝ペルシャの言語」は、大学入試問題で歴史を学ぶというシリーズで、なかなか面白いものでした。しかし、疑問も感じました。入試問題の解答例は許容範囲に入ると思い…

<問いからつくる世界史の授業>(古代〜中世)【諸勢力・諸文化が交錯するシリア】

★内戦が続いているシリア(・アラブ共和国)が注目を集めていますが、前回の【ベーメン】に引き続き、生徒たちが理解しづらい地方を取り上げます。★生徒たちは、アラム人、ダマスクスとあげれば、古代におけるシリアの重要性を思い出します。しかし、その後…

<問いからつくる世界史の授業>(中世〜現代)【ベーメンってどこ?】

★今回は、生徒たちが理解しづらい地方を取り上げます。残念ながら、地理的関心が薄いいまま世界史を学んでいる生徒たちも、少なくありません。いままで、ベーメンという地方をよく理解できないまま受験に臨んだ生徒たちも、少なからずいたのではないでしょう…

<問いからつくる世界史の授業>(中世)【ジャンヌ・ダルク】

★世界史では、「生徒たちの関心は高いけれど、授業で詳しく取り上げるのは難しい」という人物がたくさんいます。ジャンヌ・ダルクもその一人です。今回は、そのギャップを埋めるためのオリジナル問題です。解説(◆の部分)のしかたにもよりますが、授業の中…

<問いからつくる世界史の授業>(中世)【正統カリフ時代】

★正統カリフ時代(632年〜661年の30年間)は、イスラームの発展にとって極めて大事な期間です。しかし、通常の授業ではあまり時間をとれず、アリーの暗殺に焦点がいきがちです。今回は、そのような傾向を補正するための問題と解説です。 [問題自体は、一応 …

<問いからつくる世界史の授業>(近代)【ナポレオンの妃ジョゼフィーヌと博物学】

☆今回取り上げるのは、ナポレオン1世の妃だったジョゼフィーヌです。ダヴィドの巨大な絵画(「ナポレオンの戴冠式」)に描かれ、のち離婚されたジョゼフィーヌ。多分、授業ではマリ=アントワネットほどには取り上げられないことでしょう。しかし、彼女を取…

中世ヨーロッパの授業【ローマ・カトリックとギリシア正教の違い】

★ローマ・カトリックとギリシア正教の違い・対立[標準、半分はプラスα] ※板書またはプリントの内容です。 <ローマ・カトリック> <ギリシア正教> 1「ローマ教会に首位権」 1「コンスタンティノープルに首位権」 (「ローマには、ペテロの墓」) (「330…

<問いからつくる世界史の授業>(近世)【清の康煕帝はどんな人?】

★康煕帝では、次のことも確認します。[標準] 1 康煕帝の父親が順治帝であること。 2 17世紀の後半から18世紀の前半にかけて、61年間在位していたこと。 ★1について。授業のやり方にもよりますが、「康煕帝のお父さんは誰?」と尋ねると、生徒たちはポカ…

初期キリスト教の授業(古代末期)【五大教会の理解を深めるために】

☆[標準]で終わっても、問題はありません。 ☆[プラスα]、[さらにプラスα]を授業で取り上げれば、ひと味もふた味も違う授業になると思います。(少し難度が高くなりますが。)★図表等の地図で五大教会を確認する時、次のことに注意します。[標準] ・キ…

★こんな考え方で書いていきます【<問いからつくる世界史の授業>について】

★<問いからつくる世界史の授業>というシリーズは、単なる練習問題とは異なります。目的は、「授業をつくる」ことです。★具体的には、次のような3部構成で書いています。②と③が、実際の授業内容になります。 ①テーマ設定の背景にある問題意識、教科書の取…

▲【世界史教育のいま −問われる教科書・研究者−(シンポジウムで見えたもの)】

★2015年3月4日に立教大学で「公開シンポジウム 高校世界史教科書記述・再考 研究者の視点から」が開催され、参加してきました。私の「参考資料」(本ブログの一部)の配布を快く承諾してくださった主催者に、感謝申し上げます。参加者は50人余りでした。 ★…

【2015センター試験「世界史B」・問題分析】

《2013年・2014年に引き続き、「世界史B」の問題の分析を行います。今までと同じく、「傾向と対策」的な分析は大手予備校などにおまかせし、高校における世界史教育の充実という観点から述べたいと思います。したがって、試験問題としての良し悪しを評価す…

▸【『市民のための世界史』の書評に対する桃木至朗さんの反論について】

■桃木至朗(ダオ・チーラン)さんが、ブログで 私の書評について反論していました [2014‐08‐29]。「かみ合わない議論」の一つの典型のように思われましたので、あえて感想を書かせていただきます。■執筆者の代表がわざわざコメントしてくださったのですが、…

【世界史の授業を考える(その3)】

★予備校の「世界史B」の授業の他に、9月からある高校の「倫理」の授業を、そして10月からは地域の大人のかた向けの世界史講座も担当しているため、新しい記事を書く時間がなかなかとれなくなっています。★リリーフで受験向けの「倫理」を担当するようにな…

▶書評【大阪大学歴史教育研究会編『市民のための世界史』】

☆世界史教育充実のための大阪大学歴史教育研究会の活動は、めざましいものがあります。その活動の現時点での集大成とも言うべきものが本書です。大学教養課程のテキストとして書かれました。帯には次のような言葉が並んでいて、本書の意図を伝えています。 …

♥世界史ブックガイド[文化と社会]⑧【司馬遼太郎『草原の記』】

世の中には、隠れた名著がたくさんあります。司馬さんの傑作小説群や紀行シリーズほどには目立ちませんが、この『草原の記』はまさにそうした本だと思います。遊牧民の歴史を縦横にたどりながら、激動の20世紀を生き抜いた、ツェベクマさんというモンゴル女…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]⑦【オリガ・ホメンコ『ウクライナから愛をこめて』】

ウクライナ人のオリガさんが、日本語で書いた美しい本です。 出版されたのは、ロシアによるクリミア併合(2014年3月18日)の1ヵ月半前でした。その後のウクライナの状況を思うと、痛みなしには読むことができない本でもあります。 「母親とおばあちゃんの…

復習プリントから考える世界史Bの授業・教科書(中世)【トルコ人の西方移動とイスラーム化(9〜10世紀)】

《復習プリントから》 *今回は、やや長い復習問題です。生徒たちにとっては理解しづらいテーマですが、文章をよく読んでいくと、授業内容が確認できるようになっています。◇( 1 )の乱[755〜63]の際に唐を助けたトルコ系ウイグル[帝国]は、オアシスの…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]⑥【ベルトラン・ランソン『古代末期 −ローマ世界の変容』

今回は、世界史プロパーの本の紹介です。 「ローマ帝国はなぜ滅んだのか?」という問いは、多くの人々を惹きつけてきました。ランソンは「十七世紀以来、国家の転変に関する思想が、ローマの事例から離れられなかった」と述べています。この見方は18世紀の啓…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]⑤【澁澤龍彦『フローラ逍遙』】

稀代のフランス文学者による、花についての博物誌的なエッセイ集。「水仙」から「蘭」まで、25の花々が取り上げられています。文庫サイズながら、1つの花に3点の古今東西の植物画がカラーで収録されている、優美な本です。 花を好きな人ならば絵を眺めてい…

復習プリントから考える世界史Bの授業・教科書(中世)【魏晋南北朝を大きくつかむ】

《復習プリントから》 *今回は、他のプリントとは少し違った形式にしてあります。1 魏晋南北朝という時代 ★後漢の滅亡から隋が中国を再統一するまでの約370年間 【3世紀前半〜( ア )世紀末】 ・北の( イ )世界と中国の農耕世界の対立・交流・融合に注…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]④【多和田葉子『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』】

ドイツ語と日本語の両方で小説を書いている驚くべき作家の、言語に関するエッセイ集です。深く鋭い、そして不思議にやわらかな文章は、私たちを複数言語・複数文化の最前線に連れて行ってくれます。 「エクソフォニー」とは、「広い意味で、母語の外に出た状…

♥世界史ブックガイド[文化と社会]③【E.M.フォースター『アレクサンドリア』】

イギリスの作家E.M.フォースターによる、珠玉の歴史都市紀行です。 ヘレニズム時代(前334〜前30)、ギリシア文化の遺産を一手に引き受けて繁栄した、プトレマイオス朝の都アレクサンドリア。ムセイオン(王立研究所)の大図書館には50万巻の蔵書がありまし…